未経験者でもフランチャイズ経営にチャレンジする人も多数います。しかし、フランチャイズ経営を行う際にさまざまな問題が生じる場合も多いです。そこで今回は、フランチャイズ経営の際に発生しやすい問題を実例とともにお伝えしていきます。
フランチャイズ問題で加盟店側が弁護士に依頼する内容
フランチャイズ問題は、本部内で平和的に解決ができれば良いですが加盟店側が弁護士に依頼してしっかりと解決する方がスムーズに物事が運ぶ場合も多いです。
ここでは、フランチャイズ問題が発生した際に加盟店側が弁護士に依頼するべき内容について、ご紹介します。
契約前のもめごとに関する問題
フランチャイズ加盟店と本部でのもめごとは、契約前にまず発生する可能性があります。よくある問題は、勧誘が強引でよくわからないまま契約してしまったというケースです。
フランチャイズ加盟をする際、本部はきちんと売上予測や開業後のサポートなどをしっかり説明しなくてはいけません。
しかし、企業の中には契約を焦って強引な勧誘を行う可能性もあります。
「かなり稼げるから」と根拠のない売上予測を告げたり、ロイヤリティなどの説明もないまま契約をしたという場合も多いです。そうなると、きちんとした検討をできない状態で加盟店契約をするため実際に店舗運用する際に「想定と違う」とすぐに経営が行き詰まる可能性もあります。しかし、本部に直接言ってもなかなか解決しません。弁護士に依頼して対応してもらった方が、解決に近づきます。
契約後のもめごとに関する問題
フランチャイズ契約をした後、全てがスムーズに運営が進むわけではありません。契約後も本部とフランチャイズ加盟店の間での問題は発生します。よくあるものは、本部との関係上の問題です。
一般的に、フランチャイズ経営を行う人の多くが未経験でスタートさせています。
そのため、本部はきちんとフランチャイズ加盟店の経営相談や困りごとに関して適切なアドバイスを行う必要があるのです。しかし、本部の指導担当者が高圧的な態度をとり、話を聞いてくれない、売上の圧力をかけられるなど、とてもビジネスパートナーとして運営することができなくなる場合もあります。
本部のマニュアルも古いままなど、本部のサポート体制がなっていないと売上や経営にも悪影響があるため、問題が起こりやすいのです。
解約後のもめごとに関する問題
解約の場合も問題に発展しやすいです。よくあるものは、「途中解約」についてです。途中解約は、経営不振のため自身で申し入れる場合と本部から申し入れられる場合とあります。
経営不振もしくは自身の健康状態などプライベートな理由で、途中解約した際に違約金を請求されることがほとんどです。
契約書上に中途解約に関しての条項があれば、内容に沿って解約していけば良いですが、内容によっては高額な違約金請求をされる場合もあります。契約時にきちんとどんな内容が書かれているのかを確認しておけば良いのですが、なかなか確認しない人も多いです。
経営をスタートさせてどうなるのかは誰にもわかりません。最初から途中解約するつもりがなかったとしても、不測の事態に備えてきちんと契約書を確認した方が良いでしょう。
契約書に記載があったとしてもあまりにも高い違約金であれば弁護士に相談して適切な対応を依頼してください。
フランチャイズ問題で本部側が弁護士に依頼する内容
フランチャイズ加盟店との問題で、本部側が対応に困る場合も多いです。本来なら本部に落ち度がなかったとしても、フランチャイズ加盟店側から何かしらの申し出がある可能性もあります。
対応はなかなか難しいので、弁護士に依頼した方が良い場合もよくあるのです。
加盟金に関する問題
加盟金とは、フランチャイズ契約をする際に加盟希望者が本部に支払うお金になります。加盟金を支払うことで、本部の経営ノウハウやサービス、マニュアルを利用する権利を得られるため、初期費用だという認識です。
基本的に、加盟金は権利を得るために必要なお金となるので返還等は行いません。
ほとんどのフランチャイズ契約書にも加盟金についての条項があり、「いかなる場合・理由であっても返還はいたしません」という加盟金不返還特約が書かれています。
しかし、売上のないフランチャイズ店舗が途中解約をした際に加盟店側から「売上がないのは予測が間違っていたから」と本部に加盟金の返還を求められるケースがあるのです。
もちろん、本部が重大な説明違反を行っていた、一方的に本部が途中解約をしたなどがあれば返還を命じられる可能性はあります。
そういった問題がなければ、返還義務はありませんが問題が起きると解決まで時間がかかるため、きちんと弁護士に相談しましょう。
ロイヤリティに関する問題
フランチャイズ加盟店は、本部から看板を使う、経営ノウハウや商品サービスを利用する権利を与えられています。
その分売上の中から本部にロイヤリティと呼ばれる手数料を払わなくてはいけません。ロイヤリティの相場は、業界によって違うため一概には言えないのです。
ロイヤリティは売上が多くても少なくても支払う必要があるため、フランチャイズ加盟店側が負担に感じる可能性もあります。そこで、ロイヤリティの支払いができないと未払いに発展するケースが多いです。
加盟店からのロイヤリティが、フランチャイズを拡大する大きな理由なので未払いになれば困ります。その場合は、早い段階で弁護士に相談して回収できるよう行動してください。
加盟店から損害賠償を請求される場合
本部が一番困るのは、急にフランチャイズ加盟店から損害賠償を請求されるケースです。
例えば、経営がうまくいかない、解約後の違約金が高すぎるなどが全て本部のせいだと加盟店側が損害賠償請求を求めてくる場合があります。
実際は本部に落ち度がなかったとしても、損害賠償請求されてしまうと本部としては早急に弁護士に相談する必要があるのです。。
すでに損害賠償を請求されているのであれば、フランチャイズ加盟店側は弁護士に依頼しています。そのため、対話で解決はできない状態なので、本部側もきちんと弁護士に依頼しましょう。
損害賠償を払わなくて済む場合も、請求よりも少なく払うだけで済む場合と結果はさまざまですが弁護士に相談した方が話しはスムーズです。
フランチャイズ問題で必要となる弁護士費用
フランチャイズ問題で困った場合、弁護士に依頼する方が良いです。ただ、費用がどの程度発生するのかについても知っておかなくてはいけません。
一般的に、弁護士に依頼する際は相談するだけでも費用負担が発生します。大体3万円程度が多いですが、その後実際に依頼をするとなれば大体70万円〜150万円程度費用が発生します。
ここで、顧問弁護士がいれば1ヶ月25,000円〜50,000円程度支払っていると、法律相談にも乗ってもらえますし、いざという時の対応も通常の金額よりも安く対応してもらえるのです。
顧問弁護士の場合は、50万円〜100万円程度で対応が可能になります。しかし、大きな企業であれば、ほとんど顧問弁護士がいますが、小規模の場合、顧問弁護士を雇うか否かは状況次第でしょう。ですが。早い段階で顧問弁護士を雇っておくと、不測の事態に備えることができます。
実際に起きたフランチャイズ問題
実際に発生しやすいフランチャイズ問題は、以下の3つに分けられます。
- 契約締結時
- 契約履行上
- 契約終了時
フランチャイズ契約を巡る問題も多く、訴訟まで発展する場合もあるのです。
ここでは、実際の判例とともにご紹介していくので参考にしてください。
実際の判例:契約締結時の問題
契約締結時の問題としてよくあるのは、フランチャイズ加盟を希望する人に対し、契約を締結するかどうかの判断材料を適切に提供していないことが挙げられます。
基本的にフランチャイズ加盟希望者は、そもそもの知識も情報もないため、全ては本部からの情報頼みになるのです。
そのため、契約締結時に適切な情報を提供してもらえなければ、適切な判断のもと契約ができません。
契約時に売上や収益の予測を行いますが、その際に大幅にズレた予測を提示し現実的にはそういった売上は見込めず、フランチャイズ加盟店が不利益を被ったという事例があります。
実際の判例では、契約締結時の情報開示や予測等に対し、適切な評価ができていないため、信義則上の保護義務違反が生じていると判断されました。
実際の判例:契約履行上の問題
フランチャイズ経営の場合、契約履行上の問題は非常に多いです。
1つは、指導援助義務と呼ばれる本部側がフランチャイズ加盟店へ研修やマニュアルの交付、経営統合の個別指導などを行う義務を不履行する問題といえます。
店舗がオープンした後は、全く研修などが行われずにフランチャイズ加盟店が新しい情報を手に入れることができないなどが該当します。
経営指導についても、支援する義務が本部にはありますがそういった義務を履行しない場合、本部はフランチャイズ加盟店に対して損害賠償責任を負うのです。
もう1つは、ロイヤルティの問題です。フランチャイズ契約締結をした際に必ず規定されている、ノウハウ提供の対価となります。また、ロイヤルティは売上商品原価、総利益からと定義されています。しかし、破格のロイヤルティを請求する、廃棄ロスや棚卸しロスの原価もロイヤルティに含めるなどフランチャイズ加盟店が不利になるロイヤルティをとる本部もあるのです。
実際の判例では、廃棄ロスや棚卸しロスの原価はロイヤルティに含めないと認定されているため、契約時に確認が必要といえます。
実際の判例:契約終了時の問題
通常、フランチャイズ経営は永久的なものではなくてきちんと契約期間が定められています。契約期間満了後、更新するのかそのまま終了するのかは双方での話し合いが必要です。
そこで問題になってくるのが、フランチャイズ側は更新を希望しているのに本部が拒絶をする、もしくは本部が一方的に解除を申し入れられる可能性といえます。
完全に片方だけが不利益となる結果になるため、信義則上許されない行為です。そのため、やむを得ない事由もなく一方的に拒絶や解除をした場合は、無効とされて契約の継続もしくは損害賠償が実際の判例でも認められています。
また、逆にフランチャイズ加盟店側もロイヤルティの支払いが滞る、売上金を私的流用する事例も多くあるのです。その場合はもちろん、損害賠償が判例でも認められています。
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フランチャイズ経営は事前確認をすればメリットは多い
フランチャイズ経営をする上で、問題を避けるために注意するポイントはあります。問題が起こる可能性があるとしても、しっかりと事前に契約書や法定開示書面を確認して、丁寧にフランチャイズ経営を行ってください。
見極めをしっかり行えば、フランチャイズ経営はメリットが多いので、やりがいと大きな収益を得ることも夢ではないでしょう。
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