自分のお店を開く際に、自分でゼロから作るかフランチャイズに加盟するかで検討している方もいるでしょう。ここでは、フランチャイズの仕組みや、メリット・デメリットについて解説します。自分のビジネスライフと照らし合わせながら、本記事を参考にしていただけると幸いです。

フランチャイズとは、どのような仕組み?

フランチャイズとは、加盟店(フランチャイジー)がフランチャイズの本部(フランチャイザー)から、ブランドやサービス、商品を使う権利をもらう代わりに、その対価(ロイヤリティ)をフランチャイズの本部に支払う仕組みです。

本部は、商品開発からマニュアルの制作、加盟店へのノウハウの伝授等を行い、ブランド価値やサービスの質の向上に取り組む役割を果たしています。一方で加盟店は、本部から得る経営に関するノウハウやブランド・商品の使用権を活かして店舗経営を行う役割を果たし、売上の向上に努めます。

フランチャイズにかかる費用

自分のお店を出したいけど、開業資金が足りない。フランチャイズでお店を開くことを検討している方は、資金がどれくらいかかるか気になるところでしょう。フランチャイズで開業する際にかかる初期費用について、以下で解説します。

開業にかかる初期費用

平成20年に経済産業省出典の「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書」によれば、フランチャイズ本部側で店舗を用意する場合の開業資金の平均は計2,233万円、加盟店側で店舗を用意する場合の開業資金の平均は計3,280万円というデータが出ています。

業種や店舗によって異なりますが、基本的に加盟店側で用意する場合の方がより多くの開業資金がかかる傾向にあります。店舗の場所やデザインによほどのこだわりがない限り、フランチャイズ本部側で店舗を用意してもらうのが望ましいでしょう。

業態によって必要な費用は大きく異なる

平均開業資金は上記の通りですが、必要となる設備や建物の広さ、初期の商品仕入れの必要性など、業態によって必要な開業費用は大きく異なります。

例えば飲食店。飲食店といっても、提供する食のジャンルによって開業資金の相場は大きく

変わってきます。

ラーメン店400万円~2000万円
居酒屋900万円~2500万円
宅配ピザ1500万円
たこ焼き屋30万円~400万円

フランチャイズはこれに加え、運転資金やロイヤリティを支払う必要があります。しかしいずれも自社経営より安い傾向にあるので、フランチャイズの方が負担が軽いメリットがあります。

フランチャイズ経営のメリット

フランチャイズで開業する場合、以下の4点のメリットがあります。

  • 大企業のブランド力を活用できる
  • 確立してサービスや商品を初めから提供できる
  • 開業に必要な資金を抑えられる
  • 企業によっては有利なビジネスモデルで経営できる

上記の4点について、以下で詳しく解説します。

①大企業のブランド力を活用できる

知名度の高いブランドを活用できることが、フランチャイズにおいて最大のメリットと言っても過言ではありません。経営を軌道に乗せるためには、まずその営業エリアの人にお店のことについて知ってもらう必要があります。

その際に、既にお店の知名度が高い状態からスタートできるため、自ら新しく店舗を始めるより集客にかけるコストの負担が軽減されます。また、知名度の高いお店であれば、新規の集客のみならずリピーターの獲得にも活用できるので、マーケティングに悩まされることが少なくなるでしょう。

②確立したサービスや商品を初めから提供できる

フランチャイズは、実務経験や運営が未経験の業種においても参入することができます。

フランチャイズ本部が培った運営ノウハウや、長年かけて開発した商品を販売でき、充実した研修も行ってくれることが多いため、未経験でも店舗運営ができる仕組みになっています。

自分でゼロからお店を開く場合、その業種に関する実務や運営の経験が必須になるので、「経営経験がなくても独立できる」仕組みは、未経験の方にとって実に魅力的なポイントでしょう。

開業に必要な資金を抑えられる

本部が建物や設備を提供してくれる場合や、広告宣伝を大々的に行っている場合は、個人で開業するよりもコストを抑えることができます。自分で店舗を開く場合、設備や建物などを全て開業資金として用意する必要があります。

ですが、フランチャイズの中には開業する店舗の初期費用をフランチャイズ本部が負担するプランを設けている場合があり、コストを抑えることができます。また、実績のない個人に比べて銀行からの融資を受けやすく、資金調達面においても有利に展開できます。

③企業によっては有利なビジネスモデルで経営できる

加盟する企業によっては有利なビジネスモデルで経営ができることも強みです。「おたからや」というフランチャイズ企業を例に見ていきましょう。おたからやは買取専門店で在庫リスクを背負わないビジネスモデルを展開しています。買い取った商品をその日に本部へ発送し、最短即日で現金化することが可能なので必要以上の在庫を抱えるリスクを回避することができます。

在庫リスクを回避することで、小規模・少人数で運営することも可能になるので、加盟店側にとっても有利なビジネスモデルで経営できることでしょう。

フランチャイズ経営のデメリット

メリット盛りだくさんのフランチャイズですが、以下のようなデメリットもあります。

  • ロイヤリティを支払わなければならない
  • 経営の裁量が少ない場合がある
  • フランチャイズから独立する際に制限がある

フランチャイズで経営を成功させるために、デメリットも知っていきましょう。

①ロイヤリティを支払わなければならない

加盟店は、本部にロイヤリティを支払う必要があり、売り上げによる利益を削られてしまいます。ロイヤリティは定額方式、売上比例方式、利益分配方式があり、定額方式を用いているフランチャイズ企業が全体の41.3%と最も高い数字です。

また、店舗型ビジネスよりも無店舗型ビジネスの方がロイヤリティは低く、定額方式を採用する傾向にあり、売り上げの伸びしろに比例します。このように、ビジネスモデルやロイヤリティの内容によって利益が大きく変わります。

②経営の裁量が少ない場合がある

提供するサービスや店舗レイアウトなどは本部が定めたマニュアル通りにしなければならず、個人経営と比べると自由度が低い傾向にあります。フランチャイズは基本的に、画期的なサービスよりも安定的なサービス提供が求められるので、フランチャイズ本部が設けたマニュアルやノウハウ通りに運営しなければなりません。

業種や店舗によって異なる部分はありますが、個人経営と同じように自由な経営が出来るところは少ないと考えたほうが望ましいでしょう。

③フランチャイズから独立する際に制限がある

ノウハウ流出を避けるため、フランチャイズ解消後一定期間は、同業種で起業できない契約を設けている企業が多い傾向にあります。フランチャイズ本部と契約する際に「競業避止義務条項」について明記されることが多く、契約が解消された後の競業行為を一定期間禁止する名目が記載されます。

ここには禁止される営業エリアや期間、場所を明記しているので、違反した場合は違約金を支払う義務が生じてしまいます。競業禁止は、独立する際に大きな足かせとなります。

フランチャイズは未経験でも挑戦しやすい

フランチャイズの仕組みや、メリット・デメリットについて解説しました。業種にもよりますが、基本的にフランチャイズは個人経営よりもリスクや負担を軽減できるので、未経験の方でも挑戦しやすいでしょう。

フランチャイズ経営成功のカギは、開業資金や本部に払うロイヤリティを必要最小限に抑えることが重要です。自分のビジネスライフと照らし合わせ、なるべくリスクを回避できる経営をしていきたい方は、フランチャイズで開業することをおすすめします。